堕ちて、堕ちて、地獄まで。
なんでこんなに…っ、気持ちよく感じちゃうの…?
辛い、悲しい、憎い、申し訳ない。
そんな感情に心を支配されていると、勢いよく部屋のドアが開いた。
「オイ」
そこには…、
愛しい人が、立っていた。
「坂口莉音…」
ぽつりと呟く男子校生は、膝がガクガクと震えている。
「月果に何してくれてんだよ」
虎のように冷たい目で莉音が男子校生に問う。
「すっ、すみません!貴方の女だとは知らず…」
「知ってる知らねえは問題ねえんだよ。お前、今すぐ消え失せろ」
そう言った後、彼は私の方に目を向ける。
荒っぽい口ぶりと目つきが、一瞬でいつもの優しい表情に変わる。
「月果」
と上着を寄越してくれる莉音は、にっと笑った。
「すぐ終わるから目ぇ瞑ってな」
バキッと音が鳴るのと、私が目を瞑るのがほぼ同じタイミングだった。
「終わった。…ごめんな」
その言葉とともに、私は目を開こうとした。ごめんなんて言わないでよ、そんな言葉を呟こうとした。でもそこが限界だったらしく、私の意識はぷつんと途切れた。