堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「あ…そっか。莉音は今日飲むの?」
「んー、月果が飲むなら付き合う」
だいぶ気まぐれだなとか思っちゃう。
「ごめん、今日はやめとく」
折角大事な100日目なのに酒飲んで記憶無くしちゃったら元も子もないもん。もしかしたらこの日が私の記憶に残る大事な日になるかもしれないのに、そんなこと絶対したくない。
「そっか、残念」
「あ別に莉音は飲んで貰っても…」
私が許す許さないの問題じゃないけど、莉音のものなんだから好きなときに好きなだけ飲んでもらえればいいんじゃないかなって思う。
「こーゆーのは誰かと一緒に飲むのが楽しんだよ。一人で酒なんて飲んでたら虚無感でしかない」
莉音もひとりでお酒を貪るように飲んでいたときがあったのかな。こういう過去に容易に触れちゃいけないなとは思っているけど、やっぱり知りたくなっちゃう。
「ほら、そんな暗い顔すんなよ。記念すべき100日目なんだからぱーっと楽しもうぜ」
「…うん!」
私は先ほどの莉音の笑みより数倍口角を上げて見せる。案の定、ぷっと莉音は吹き出した。
「クオッカみてえ」
「クオッカ?何それ」
「調べてみな」
言われた通りスマホで検索してみると、ぽっちゃりとしたカンガルーの写真がぱらぱらと表示されてきた。その口元には少し笑みが浮かんでいるように見えた。
それより私の目に飛び込んできたのは、“世界一幸せな動物”の文字。