堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「ねえ月果!この前なんではやく帰っちゃったの??」
案の定、帆奈にそう聞かれた。
「ちょっと気分が悪くなっちゃって」
「えっ…もしかして、族の雰囲気とか嫌いだった?そしたらごめん」
「いや、そういうわけじゃなくて!私が昨日の朝食べすぎちゃって」
「あー、なんだ。よかった」
この感じだと、風磨や零さんから何も聞いてなさそうだった。その事実にほっとする。
「あと風磨がまた来いよって言ってた」
「え」
帆奈の言葉にびっくりする。風磨、そんなに私のこと気に入ってくれたんだ。
「まあでも、彼氏様に気付かれたか」
「…分からないけど、そうかもしれない」
「ん?でもその割には嬉しそうだね。さては坂口莉音が欲求不満だった?」
「うーん、そんな感じかな…」
私の表情を見て、帆奈の表情が暗くなる。
「月果?ちょっとこっち来て」
彼女に腕を引かれるまま、私は屋上に続くドアの前についた。この学校では屋上は立ち入り禁止だし、第一ここも本当は入ってはいけないことになっている。
「あのさ、これ昨日塔雅に調べてもらったんだけどさ」
と深刻げな彼女から手渡された一枚の書類。
「こいつ、白虎」
そこに記されていたのは、目立たなそうな男子。
「こいつ眼鏡かけててマスクまでしてるからよく分からないかもしれないけど、結構な女好きで彼女八人くらいいるらしいよ」
「…これ、どういうこと?」