堕ちて、堕ちて、地獄まで。
あっさりと引いていくその男に、流石に違和感を持つ。
「…どこの学校に通ってるかが、そんなに大事なの?」
「そうじゃない」
「…?」
「…もう帰れ。雷神の姫に変なこと言うんじゃねえよ」
「…べ、別に言うつもりないもん」
「早く行け」
言われるがまま、私はすごすごと階段を降りていく。
「帆奈!」
階段を降りて少し歩いたところで、帆奈が待ってくれていた。
「しっ、黙って。まだあいつが上で聞いてるかもしれないから」
「…そっか、ごめん。場所移動しようか」
私達は普段は使われない選択教室に入り込んで、中から鍵を閉めた。
この教室は何故か中から鍵をかけられるスタイルになっている。多分だけど誰かがそう細工したのだろう。
「月果、これからは私が送り迎えするよ」
「え⁉︎そんなのいいよ、だって帆奈の方が…」
帆奈は雷神のお姫様なのに。
「月果のことが心配なの。雷神の護衛を頼みたいくらいなんだけど申し訳ないし。だから私が行く」
「…でもそしたら帆奈は…」
「塔雅に迎えにきてもらうよ。大丈夫、月果の家から離れた場所で待ち合わせるから、月果の家がバレることはないよ」
「それじゃあ帆奈が危ないよ…」