堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「私は最悪塔雅が助けてくれるから。月果は——」
「だめ!」
私は帆奈を遮った。
「帆奈は雷神のお姫様じゃん。もし何かあったら、ほかに悲しむ人が沢山いる。だから、危険な目に遭わせられないよ」
「そんなん、月果だって同じじゃん」
帆奈の言葉に、私は目を見開く。
「月果に何かあって悲しむのは、私だけじゃないと思うよ」
「…」
確かにそうかもしれない。今までは帆奈くらいしか私のことを心配してくれる人はいなかった。けれど今では…。
「鈴城だって風磨だって、あんたのこと心配してるんだから」
「えっ、風磨まで?」
かなり驚いてしまった。風磨なんて一回しか会ったことがないのに。
「あー、うん。本人は否定してるけどね」
にやりと含みのある笑いを浮かべる帆奈。どういう意味がこめられているのだろうか?
「いずれにしろ、月果の力になりたいって気持ちは変わらないから。今日から一緒に行くね」
「で、なんで風磨?」
「俺じゃ不服なのかよ」
「や、そうじゃなくて…雷神の副総長にわざわざ送ってもらって申し訳ないなって」
「いんだよそんなん。風磨は暇だから!」
「あのなあ、俺だって暇なわけじゃないんだけど」