堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「そっか」
莉音はあっさり引き下がった。
「ごめん、ちょっとコンビニ行ってくるわ」
「え」
このタイミングで…?
「ちょっと甘いもの食べたくて」
「…そっか。いってらっしゃい」
私はひらひらと手を振って彼を見送った。
その後、彼は数時間経っても帰って来なかった。
彼が帰ってきたのは、その翌日の夜だった。
「お帰り…っ」
臭っ、という言葉を辛うじて飲み込む。莉音からはきつい香水の匂いがしたからだ。
「何、この子」
莉音の隣にひょっこり顔を突き出してきたのは、私より年上らしい女の子。
多分高校生なんだろうけど、胸の大きさとか色気とか可愛さとか、そういうのが尋常じゃない。
モデルと紹介されてもおかしくないくらいの美貌だった。
でも…なんでそんな女の子を家に連れてくるの…?
「親戚の子だよ。従姉妹みたいなもん」
その言葉に目を見開く。私は莉音の恋人なのに。
そのことを大きな声で言いたかったが、舌は思い通りに動いてくれなかった。
「ふーん。そんなんどうでもいいわ、はやくして」
「うん」