堕ちて、堕ちて、地獄まで。








嗚咽が漏れて、それきり凛咲ちゃんから言葉が漏れることはなかった。

全部台無し…?凛咲ちゃんは本当に今までのことを悪いと思ってたの?それすらも怪しくなって、寒気がした。それなのに莉音は、凛咲ちゃんのことを許したの…?

「凛咲、とりあえず服着ろよ」

これまで一度も喋らなかった莉音が口を出した。そしてそっとブラジャーを差し出す。

まず差し出すのがそれなの?しかも親しげに名前呼び?収まってきたはずの怒りがまたふつふつと込み上げてくる。

「…ありがとう、莉音さん」

「だから、莉音でいいって言ったじゃん」

「なんで…なんでそんなに」

その続きは言えなかった。何故なら莉音に今まで見たこともないくらい怖い目つきで睨まれた…わけでもなんでもない。

ただ、どう考えても私にとって不利な状況だったから、私が言葉を詰まらせただけだった。

「凛咲はとりあえず帰れ。俺はこいつと話があるから」

こいつ…?私の怒りは完全に頂点に達してしまった。

「凛咲ちゃんはあんたの彼女なの⁉︎なんでそんなに大切にするの?私が嫌いになったんなら捨ててくれればいいじゃん。変な希望なんて持ちたくないのに…」

「水無瀬月果」

いきなりフルネームで呼ばれ、私はぴたりと黙った。

「言っておくけど、河合凛咲とはセフレの関係。別に愛なんて求めてないし、見た目がちょっといいし俺のことが好きみたいだからヤってあげただけだし。俺は愛が重い女とは関係を持ちたくないし、俺とこいつとの間にはなんの感情もない。事務的に行っただけだ。だからこそその辺で倒れられてたら困るし。

服を着させたのはその理由。分かった?」

私は彼ではなく凛咲ちゃんの顔を見た。凛咲ちゃんは目を見開いていた。

「せ、セフレ…?」




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