堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「ああ、聞いてなかった?愛してる人がいるのに本命だとか思わないで欲しいなって俺は思うけど。『慰めてあげる』とは言ったけど、『好きになってあげる』とは一言も言ってないから。一発ヤればいーでしょ?てかもう二発か。十分じゃん、俺とヤれる機会なんてそうそうないんだから」
莉音の棘のある言葉に、凛咲ちゃんの目から涙が零れ落ちた。先程まで怒ってはいたものの、私も流石にそこまで酷い言葉をかけて欲しかったわけじゃない。
「俺に幻滅した?なんならいいよ、俺への気持ちはそれだけってことか。俺もそれを見抜いて抱いた。用は済んだよね?
ちゃんと最後まで終わらしたじゃん。ゴムなしでしたじゃん。満足でしょ?ほら帰っていいよ」
別にその口調は怒っているわけではなかったが、どこかひやりとしたものを感じられた。
凛咲ちゃんはすすり泣きながら、戸を開けて出て行ってしまった。
しばらくして私は口を開いた。
「…莉音…最後までって…」
「聞かなくても分かってるだろ?」
莉音は頑なに私と目を合わせない。
「でも、なんで…莉音はやっぱり、女の子とは一夜限りの関係しか持たないのならいくらしても変わらないと思ってるの…?」
「あのさ」
莉音のひやりとした声に、私はびくっと震えた。
「月果は俺の何を分かってるの?」