堕ちて、堕ちて、地獄まで。





「愛樹と俺は、血が繋がっていなかった」

何を言うのかと思えば、今の話とは少しずれた事実。

「愛樹と俺は、恋人同士だった。助かったよ、親が離婚することは悲しかったけれど、これでようやく愛樹と結ばれるって思ってた。でも、」

そんな…。愛樹ちゃんは、莉音の妹で、恋人?

「お前が、愛樹を殺した。

お前がいなかったら、今もここで愛樹と笑い合えていた。愛樹をもっと可愛がることだってできた。

愛樹を愛することだって、あんなに短期間じゃ足りなかった。

愛樹がいない誕生日を迎えるこの辛さを感じることもなかった。

俺がこの後に残す人生を早く終わらせたいと思うこともなかった」

仏壇から、愛樹ちゃんの写真がはらりと落ちてきた。

この前見た写真とは違って、そこにははっきりとその姿が現れていた。

写真に写っている愛樹ちゃんは純粋で、そして驚くほど綺麗だった。

写真越しからも、莉音を想う強い気持ちが溢れていたのが分かった。

確かに、莉音の言う通りだ。

私が直接愛樹ちゃんを殺したわけじゃない。

元々の発端は私じゃないかもしれない。

でもこれだけは言うことができる。




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