堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「いやいやいや、それはないでしょ。俺病人だよ?あーんしてくれたっていいじゃん」
「あーんなんてするか!」
私はそう突っ込む。そんな私に、彼はくすりと微笑む。
「月果」
あまりにも優しく呼ばれた名前に、私は口をつぐんだ。
「…なに」
「ありがとな」
彼が言ったのはどういう意味だったのだろう。
分からないけど、きっとこのことだけじゃなかったはず。
じゃなきゃこんなにこの『ありがとな』には重みはないはずだから。
「うん。私もありがと」
私の顔にも、自然と笑みが溢れでた。