堕ちて、堕ちて、地獄まで。




なんとか口に入っているものを喉に押し込んでから言おうと思ったが、気管に入り込んだらしくげほげほと咽せてしまう。

「ちょ、月果」

慌てふためいた彼がわざわざ私の背中をとんとんと叩いてくれる。

「ごほっ…ありがと」

最後に咳払いをしてから、私は彼にお礼を言う。

「ん、まさか俺の風邪移ってたりしないよな?念のため学校休んどけば?俺も今日休むから」

こう言ってくれる莉音はやっぱり優しい。

「いーよいーよ、風邪を引くのは馬鹿だけなんでしょ?大丈夫だって」

自分が馬鹿じゃないのかという疑問はさらっと無視しておこう。

「おま、しれっとディスるなよ…」

ちょっと呆れたように言った莉音だったが、結局学校まで送ってくれるらしい。

「あ、バイクとか…?」

密かにニケツが羨ましいと思っていた私はそう尋ねてみる。でも

「バイクねー、前持ってたけど友達にあげたわ」

「あー、そうなんだ」

暴走族を辞めたからなのだろうか。

でもバイク単体だったら暴走族じゃなくても使えそうではあるけど、勿体ない。

暴走族仕様のバイクだったのか。



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