堕ちて、堕ちて、地獄まで。




鼻はしゅっとしていて小ぶり。唇はよく手入れされているのか、常にみずみずしい。

彼の髪がおでこに張り付いているのを見て、そっとそれを払ってあげる。

さらっとした金髪が彼のトレードマークなんじゃないかって思うくらい、彼にはこの色が似合う。

明るすぎない、どこか暗さをもったこの金色が。

私はそんな完璧な彼の側にいられるだけで、…嬉しいよ。

「ああっ!」

突然、莉音が叫んだ。なにか悪い夢でも見ているのだろうか。

心臓のあたりを掻きむしったかと思えば、ベッドの近くに立てかけてあったアルバムがバン!と大きな音をたてて落ちた。

「ん…?」

どうやら、その音を聞いて起きてしまったらしい。

「莉音、おはよう。さっきアルバムが落ちたけど…」

と言うと、先程まで寝ぼけ眼だった彼の目が一瞬で見開かれた。彼は慌てて床に落ちたアルバムを拾い上げた。



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