堕ちて、堕ちて、地獄まで。




その様子に若干疑問を持つ。黒歴史でもあるのだろうか?

「ねえ。そのアルバムって…莉音の家族の…」

「…」

ぼーっとしたままアルバムを見つめる彼に、私はもう一度呼びかける。

「…莉音」

「っ、ごめん。考え事してた。何?」

「そのアルバムって、莉音の家族の、なの?」

「…ああ、そうだよ」

彼は素直にそのアルバムを開いて見せてくれた。意外だ、黒歴史なんじゃなかったのか。

「俺が写真撮られるの嫌いだからちょっとしかないけど」

え。…可愛い。

莉音のミニサイズが、そこには生きていた。

今よりだいぶ可愛らしい印象で、よく知らない人だったら女の子と間違えてしまいそうだった。

まだ髪は黒色のままで、でもそれでも十分可愛いことが伝わってきた。

「ハーフみたいだって昔は間違われてたらしい」

「今は完全日本人の顔立ちだね」

十分整ってはいるけど、ハーフらしさは微塵も感じられない。

「うっせ」




< 66 / 185 >

この作品をシェア

pagetop