堕ちて、堕ちて、地獄まで。
アルバムをペラペラとめくってみると、一枚だけはらりと写真が落ちてきた。
逆光なのかあまり顔が写っていない下手くそな写真だけど、その子が綺麗な顔立ちをしているのはなんとなくわかった。
「この女の子って…」
まさか恋人、と言おうとすると彼はこう言った。
「あー…、俺の妹。愛樹って言うんだ」
あき、か…ありがちっちゃありがちな名前かもしれないけど、私は好きだなって思う。やっぱり莉音の家系はみんな美人なのかな。
「愛樹ちゃんかー。絶対可愛いじゃん。いまはその子は親と暮らしてるの?」
「…いや」
莉音の顔に、微かに影が射した。
「死んだよ。愛樹が小5の時に、いじめで」
「いじめ…」
私は目を見開いた。いじめはだいぶ少なくなっていると聞いてたけれど、いじめで亡くなるケースもまだあるのか、と思った。
「俺は愛樹のことを助けてやりたかった。死ぬ前に、俺が気づいてあげればよかったのに…」
莉音は手で顔を覆った。莉音が辛そうに言うから、私まで苦しい気持ちになってくる。でも、
「莉音」
私はそっと彼の名を呼ぶ。莉音は言葉を止めた。まだ俯いたままだったが、私の話を聞いてくれそうだったので私はそのまま喋り出す。