堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「ねえ」
「んー…」
「月果!」
「はいっ!」
耳元で名前を呼ばれ、私は飛び上がった。
「あ、ああ、鈴城くんか…」
「なんだ鈴城かよみたいな表情しないでくれる?」
「別にしてないし」
冷たくあしらおうとするが、口元がニヤつくのを止められない。
だって昨日莉音にあんな風に言われたんだもん、思い出してにやついちゃう。あのあとシたとかそういうわけじゃないけれど、きっと身体が安心するよりも心が安心するほうが大事なんだと思う。