堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「ったくもー、そんなんじゃクールぶってもキマってないじゃん」
「別に決めようとしてないし!」
「ははは」
からっとした笑い声をあげる鈴城くん。
「あのー、イチャつくのやめてもらえます」
イラついた様子で言う目の前の女子。
この子は私の隣に座っている梓。はきはきとしていて、クラスでも発言力のある女の子だ。
そんな彼女と私は特別仲が良いわけでないが、隣の席になったりと何かしらのきっかけがあったら喋るくらいの関係ではあったりする。
「いやあ、僕はそんなふうにした覚えがないんだけどなあ。もしそういうふうにしてたんならごめんね?」
軽い口調で言う鈴城くん。いや僕って何。いつもは俺のくせに?
「は?うっざあんた。いくら顔がよくてもそんなんじゃモテないよ」
わかりやすく眉を顰める梓。
「俺は一人だけにモテればあとはなんでもいいから」
決め台詞みたいに言わないで!
「あー、さては鈴城好きな人いんな」
とたんに梓がニヤニヤしだす。
「あ、バレちゃった?なら仕方ないや」
ちょ、ここでその話をしないで!と叫びたいところだが、これじゃ梓にもバレてしまう。
梓は結構恋愛してそうだし、もしかしたら感づかれているかもしれない。そう思うとひやひやした。