堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「うわ、何これ。賞味期限いつのだよ」
風磨がポテチの袋を親指と人差し指でいかにも汚そうにつまむ。
「ん?20XX年12月って…十年前のやつじゃねーか」
「ちょっと!こっち来ないで!」
そんな前のポテチが入っている袋なんて触りたくもない。いくら未開封でも無理。
「あれ。ここのメンバーだった人はスポーツ万能だったのかな」
零さんが金色のメダルを摘み上げる。ところどころ錆びていて綺麗ではないが、彼の言う通り何かしらの大会で獲った物らしい。前は綺麗だったことがありありと分かるような気がした。
「うへえ、汚え」
風磨がガラッと窓を開けた。その途端にびゅうっと鋭い風が吹いてきて、そこら中のものをひっくり返した。その途端に見えたものに、私は目を見開いた。反射的にそれをどうにか取ろうとして、私は懸命に腕を伸ばす。
「馬鹿っ!」
風磨が私を抱き寄せる。埃が舞い飛み私の周りを覆ったせいで、しばらく辺りは真っ白になった。
「…って、ごめん!」