堕ちて、堕ちて、地獄まで。
「月果さん、ここでもいいですか?」
「あっ、はい。ありがとうございます」
結局、零さんは見えにくい路地裏に車を停めてくれた。ここならすぐに駅に着けるし、定期圏内だ。
「今日…ありがとうございました。迷惑かけてごめんなさい」
「大丈夫ですよ。姫の友人とのことですし、もしよければまたどうぞ」
「ん。俺からも」
なんて優しいんだ、この人たちは。
「風磨も零さんも、ありがとう…」
「いーって!じゃな!」
と軽やかに去っていく車を見送ってから、私は改札を潜って行った。
家に帰ると、莉音はソファでコーヒーを飲んでいた。
「お帰り」
「ただいま」
「月果」
莉音は私に手招きしてくる。近寄ると、ぎゅっと抱きしめられた。
「ど、どうしたの?」
突然の出来事で、私の身体が硬直する。
「なんか、恋しくなって」
可愛い。その顔は反則だよ。私は目を背けようとするが、それを止めるように彼のキスの雨が降ってくる。
「ん…って、今日、するの…?」