ときめき、デイドリーム
「……あ、や、やっぱり?」
一拍遅れて、急いで言葉を返す。
会話を続けるなら、共通の話題を出さねば。
「似てるって言われる?」
「………ん」
「じゃ、じゃあ主演の映画とかは知ってるかな?〝また逢えたなら、きみと夜明けを〟とか」
「……知ってる」
「ほんとっ?!?!」
ここまで来て、テンションが上がらないはずがない。
うそうそうそっ!!こんなところにナルくんを知っていて、なおかつきちんと会話のキャッチボールができる人がいるなんて!!うわあああっ、どうしよう何から話そう!?
……なんていう興奮が相まって、決してかけてはいけないエンジンをフルスロットルでかけてしまった。
「ナルくんってすっごくカッコいいよね!いや顔もそうなんだけど心がもはや神々しいというかファンのみんなにすっごい紳士的というかあそこまでファン心を理解できている人もなかなかいないと思うしそして家族のことを話してる時に顔が生き生きしてるのがまたズルいと思うし、」
「……そんなに兄さんがすきなの?」
「いえもう好きなんていう次元じゃ言い表せないぐらいなのですがあれはそう神様いやもはや下界に住む愚民であるわたしにお顔をちらりと見せてくださったお天道様いやもっと的確な言葉を言うと─────」
ぴたり。
………あれ。エンジンかけてて聞き逃しそうになったけど、いま、絶対聞き逃しちゃいけない言葉、出なかった?