ときめき、デイドリーム



頭にいくつものハテナを浮かべながら朝水くんを仰ぎみた瞬間、目を見張った。


……青い顔で、だらだら冷や汗を流しながら、そっぽを向いている。ここまで嘘をつくのが苦手な人も珍しい。



「………えっと、いま、聞き間違いじゃなかったら、兄さんって、」

「言ってない」

「………いやでも、その顔でそれはちょっと無理が、」

「言ってない」

「あのお願いだから諦めてくださいこっちが心痛くなってきます」



必死で弁解をしているところ悪いのだけれど、推しの声を一語一句聞き逃さまいと常に神経を研ぎ澄ませているわたしの耳は誤魔化せない。



「似ているとは思っていたんですけど……まさか、弟さん、だったりします、か?」



おそるおそる、慎重に尋ねれば、朝水くんは言い逃れ不可だと悟ったのか、ゆっくりと頷いて。



「……おれの、兄貴」

「………っ?!?!!!?」

「っ?!」



だばだばと涙をこぼすわたしを見て、今度は朝水くんがびっくりした猫のように固まった。


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