ときめき、デイドリーム





……そんな能天気な数時間前のわたしが恋しい。そして猛烈にうらやましい。




「………」

「………、」

「…………あの、わたしはやはり晒し首なのでしょうか……」

「………エ?」

「朝水那吏様を怖がらせてしまったこと、地に平伏して、いえもうめり込んでお詫びいたし、」

「だから大袈裟!」




目の前に気だるげに立っている、わたしの最推しの弟様である朝水那吏様は、ぷるぷる正座して震えるわたしをため息をつきながら見下ろした。




「……とりあえず立って。なんか、おれが悪者みたいに見えてくるから」

「そんなっ!わたしが悪者です邪悪もいいところですよ?!」

「だから立って」




わたしの言はもうスルーすることにしたのか、ん、と手を差し出してくる朝水那吏様。


……そもそも、なぜこんな人目につかない学校の校舎裏で正座しているのかというと、ことはHRが終わったあとに遡る。


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