ときめき、デイドリーム



この氷高真生という子には、趣味と呼べるものがないらしい。


ネットサーフィンもしないし、動画もテレビもわたしがオススメしないと基本見ない。もちろん推しのひとりやふたりもいない、無趣味を貫いている子。

もはや、バイトが趣味になってきているところがあるんだとか。



「真生と買い物に行きたいよおおお。カフェに行ったり遊園地行ったりしたいいい」

「それは私じゃなくてもいいんじゃ……?」

「真生と行きたいの!」



そう言っても、真生はなぜ自分と行くことに固執するのかわからないと言いたげに首を傾げていた。


もっとずっと、仲良くなりたいから。

好きなものや嫌いなこと、たくさんのことを知って、一緒に笑いたい。




真生はもともとはこの町出身ではなく、ここから3時間ほど離れた町で生まれ育ち、そして小学6年生を機にこっちに引っ越してきたらしくて、その頃から友達がいないと以前話してくれた。

だから、わたしと友達になれてうれしい、とも。


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