ときめき、デイドリーム



なるべく難しいものを作ろうかな。

パスタ……は、茹でるだけだし。ソースを自前で作ればいいかな?

ひとりなのに炊飯器とか、あんまり洗い物は増やしたくはないし。よし、パスタのソースを凝ろう。


なにかいいレシピは転がっていないかな、とスマホをぽちぽちしながら下駄箱で靴を履き替えていたから、その人の存在に気づけなかった。




「……っ、ちょっと」

「え?」




肩に提げていた鞄の肩紐を掴まれて、くるりと振り返ると。




「ごめん、すこし、いい?」




推しに激似……いえ、推しの実弟である朝水那吏様が、焦った顔でご降臨なされていた。




「………、………あ、はいもちろんですあなた様のためなら一日でもなんなら一生、」

「そこらへんはいいから、来て」




まだ言い終わっていないのに、あれよあれよと手首を掴まれて、足速に校舎裏へと連れてこられた。


……そして、冒頭にもどる。


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