ときめき、デイドリーム
慌ててわたしも挨拶したら、真生はゆっくりと瞬きを繰り返しながら、スッ……、とまるで何事もなかったかのように上履きへと履き替えている。
「相変わらず清々しいほどの無視だね!」
「わたしまで無視しないで?!」
バイト疲れかな?それとも、一昨日わたしが連れ回しちゃった疲れがまだ残ってるとか?
そんな心配が顔に出ていたのか、真生はへたっぴな笑顔を浮かべて、一言、だいじょうぶだよ、と。
絶対、大丈夫じゃないのに。
無理した笑顔は、真生、わかりやすいのに。
そんな風に眉を下げていたら、隣にいた千井くんの襟首が後ろから伸びてきた手に、ぐわし、と鷲掴みにされて。
「だ、か、ら、コイツに絡むなっつってんだろーが」
「うわあ、出たよ番人」
「誰が番人だ」
若干的を射ていなくもないような、千住伽夜くんがあらわれた。