ときめき、デイドリーム
眉間にシワまで寄せて、不機嫌さ全開。
は?が、あ゛?に聞こえそうなくらいだった。
でも、真生に目を止めた瞬間、そのフキゲン顔が一瞬だけど緩んだように見えた。
……が、吊り上がった目尻は変わらず。
ずんずんと青ざめる真生の前まで寄ってくると。
「氷高、」
真生の、苗字を呼んだ。
え、な、なんで真生の苗字を千住くんが知ってるの?ふたりは、知り合い?
混乱するわたしをよそに、青い顔をした真生は、必死で舌を回していた。
「ほんとにすみませんごめんなさい土下座して謝ります今のはわざとじゃなくってですね言葉の綾と言いいますか私心の中であなたのことおかあさんって呼んでまして─────」
「氷高」
「ハイ」
「今すぐ屋上こい。待ってる」
「承知しました」
蛇に睨まれたカエルの如きいい返事を聞いた千住くんは、すたすたと屋上がある方に向かっていった。