闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】
「それでも結構危ないなぁ……」
「えっ」
「未央ってどんな格好でも俺を刺激させるね。その服、少し大きすぎない?」
「そ、そんなことないよ!もともとゆったりしてる服で……!」
決して私の体が小さいからではないことを必死で伝えるけれど、神田くんには言い訳にしか聞こえていないかもしれない。
そう思うと恥ずかしくて、顔が熱くなるのがわかった。
「それよりも神田くん!トリックオアトリート!お菓子をくれないとイタズラします……!」
恥ずかしさを隠すため、本題に入ることにした。
今日の目的は神田くんにたくさん甘やかしてもらい、二人でのんびり過ごすこと!
願わくば泊まって欲しいということ!
せっかく二人きりの空間なのだ。
神田くんの家だと必ず組員の誰かがいるため、今みたいに誰にも邪魔される心配のない状況がとても珍しいのである。
次にいつあるかわからない今の状況を堪能したい。
「ごめんね未央、俺そこまで頭がまわってなくて」
「へ……」
「すぐ用意してもらうから待っててね」
神田くんはそう言ってスマホを取り出し、通話を始めてしまう。
「宮木さん、いま少し時間大丈夫ですか?」
もしかして、神田くんって天然⁉︎
後者の“イタズラ”を望んでいたけれど、神田くんは前者の“お菓子”を望んでいると勘違いしてしまったようだ。