闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】


「──なので今から」

「み、やきさん!白野です!私、お菓子いらないので大丈夫です!」


 私はソファに座っている神田くんを覆うような体勢になり、彼のスマホに向かって声を張った。


「未央?」

 目を丸くした神田くんは、スマホの通話終了ボタンを押し、私の名前を呼んだ。


「私はお菓子なんていらなくて、その……」

 神田くんの肩にそっと手を置き、じっと彼を見つめる。


「イタズラがメインといいますか」
「俺、今からイタズラされるの?」


 優しい笑みを浮かべる神田くんからは、どこか余裕が感じられた。

 きっと私がイタズラなんてできないと思っているのだろう。


「そうです……!今から神田くんの時間を私が独り占めします!」

「それがイタズラ?」

「うん……!それでたくさん甘やかしてもらうの」


 つい顔が綻んでしまう。
 こんなこと、普段はそう簡単に言えない。

 神田くんは学校以外にもたくさん仕事がある中で、私との時間を作ってくれているのだ。

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