闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】


「……ごめんなさい」

 何が神田くんの刺激になるのかわからず、大人しく彼から離れて正座する。


「謝るのは俺のほうだよ、ごめんね未央。だけどもう、未央を傷つけて泣かせたくないんだ」

「うん……うん?私、神田くんに傷つけられたことなんてないよ」


 もし本当にあったとしても、いつの話をしているのだろう。


「あるよ。俺が我慢できなくて未央を襲おうとした時、たくさん傷つけて泣かせたよ」


 私も今日、その時のことを思い出していたため、すぐにいつの話かを理解できた。

 一度も触れてこなかった話に、初めて神田くんが触れたのだ。


 もしかして、神田くんもずっと気にしていたのだろうか。


 それで今日はずっと様子がおかしくて──


「……あっ」

 感情のコントロールとか、我慢とか刺激するなとか……全部、あの日と同じことにならないようにって意味だったの⁉︎


「で、でも今までも神田くんと二人きりだった時があったよ!その時は大丈夫で……」

「それは俺の家だったからね。でもここは未央の家、俺を止めるものがないから」

「じゃ、じゃあ神田くんに触れるのは禁止ですか……?」


 せっかく二人きりになれたのに。
 ここにきて私が我慢するよう迫られている気分だ。

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