闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】


 あれ、さっきまで神田くん、余裕がなさそうだったのに。
 今ではすっかり元通りで、私が余裕のない立場まで追いやられてしまった。

 けれどそんなこと、今はどうでもいい。


「かんだ……くん」

 好き、大好き。

 目の前の彼への想いで頭がいっぱいになり、それ以外なにも考えられなくなる。


「……そんなに余裕をなくして、可愛いのは未央だよ」

 神田くんは私の頬を、唇を、指でなぞる。
 それだけでも体はピクッと反応してしまう。


「ひゃっ」

 その指はどんどん下へとおりていき、首筋、鎖骨へと移動していく。

 その後を追うようにして、触れた箇所にキスを落とされた。


 くすぐったい。
 けれどやめてほしくない。

 神田くんに愛されてるって実感する場面の一つでもあるから。

 その気持ちを表すようにして、私は神田くんの首に腕をまわした。


「今日の未央は大胆だね」
「……もっと、神田くん」

「っ、そんな目で俺を見るのはダメだよ」


 そんな目ってどんな目……?

 じっと神田くんを見つめていると、なぜかキスが止んでぎゅっと抱きしめられてしまう。


 もちろん抱きしめられるのも嬉しいけれど、まだまだ足りない。

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