闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】
「そんな顔しないで未央」
「だって……」
「正直、耐え切れる自信ないから」
耐え切るって、感情を……?
さすがの私も神田くんの言葉を理解しきれず、悲しい気持ちはどこへやら、首を傾げた。
「未央は気にしなくていいよ」
「う、うん……?」
結局、最後まで神田くんの言いたいことが伝わらないまま、私たちは家の中へと入った。
まずはリビングに神田くんを案内する。
電気をつけて、テレビの前にあるソファに座ってもらう。
「神田くんはここで待っててください」
そのあと、私はキッチンへと向かった。
実は昨日の夜から準備をしていたものがある。
今日はハロウィンということで、手作りのお菓子を用意したのだ。
学校で渡しても良かったけれど、やっぱり勇気を出して家に呼んで正解だった。
そのおかげで、神田くんと二人で過ごせるのだ。
「お待たせしました!」
昨日に作ったのはハロウィン仕様のお菓子たち。
かぼちゃのクッキーにプリン、スイートポテト。それからオバケのデコレーションをしたカップケーキ。
本人は以前、好き嫌いもアレルギーもないと話していたために、逆に何を作るのかと悩んでしまった。
神田くんのことを考えながら作ったため、すごく楽しかったけれど。
ジュースとセットで用意したお菓子たちは、一応甘さ控えめを意識したつもりだ。
神田くんは特別甘いものが好きというわけでも、嫌いでもなさそうだったので、正直反応が気になった。