闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】


「ほら、着替えておいで未央。シワになっちゃうよ」
「うん、わかった!」


 神田くんに流されるまま、私は自分の部屋へと向かい、薄ピンクのルームウェアに着替えた。

 この時期、肌寒くなっているため、袖や裾が長いのは欠かせない。


 けれど、男の人はやっぱりショートパンツだとか、ワンピースとかの方が嬉しいのだろうか。

 こう、女らしくてドキドキしてくれるみたいな……けれど、以前“あんなこと”があったために、着替えるのを躊躇ってしまう。


 それは過去に神田くんの家へ泊まった日のことだった。

 お風呂から上がって一緒に部屋で寛ごうと思っていたけれど、なぜか私の服装が神田くんを刺激してしまったらしく、ベッドに押し倒されて強引に手を出された経験があった。

 一応未遂で途中までだったけれど、それでもあのときは怖くてつい泣いてしまった。


 それ以降、特に関係にヒビが入ったわけでもないけれど、あのときの話は一度もしていない。

 原因は私にもあったみたいだし、気をつけようと思っている。

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