闇に溺れて、秘密のキスを。【ハロウィン特別番外編】
「……そういえば」
あのときはショートパンツを履いていた気がする。
正直、あのときの格好のどの部分が神田くんを刺激してしまったのかはわからないけれど、慎重になっても悪いことはないだろう。
「うーん」
けれど子供っぽいと思われるのは嫌だ。
私だって大人びている神田くんに近づけられるように、少しぐらい背伸びしたい。
さすがにショートパンツはやめたけれど、思い切って室内用のワンピースを着ることにした私は、着替えを終えるなり神田くんのもとへ向かったけれど──
「あのさ未央、もしかして俺を試そうとしてる?」
「……えっ」
どうやらこの格好は外れだったようだ。
神田くんは私を見て、あまり良い反応は見せてくれなかった。
「長いズボンは持ってないの?」
「あ、えっと……最初はそれを着てたんだけどね、子供っぽく見られるかもと思って」
「絶対に思わないよ。それより今の格好の方が俺は困るかな」
「困る……」
「だからもう一度着替えてきてほしいな、俺のために」
「うっ」
神田くんのために……そんなことを言われたら、ノーとは返せない。
大人しく、最初に着ていたルームウェアに着替え直した。