想いのままに心のままに ～結婚より仕事の30女が身ごもりました～

自分のものは適当に買った宏貴が会社に戻ると、机に突っ伏している恵理がいた。

「恵理っ！？」
倒れているのかと慌てて宏貴が駆け寄ると、突っ伏している恵理から・・・すやすやと眠っている吐息が聞こえた。

宏貴は静かに買い物袋をデスクに置くと、恵理の体を抱き上げて、隣のソファに寝かせる。
いつも履いているスニーカーをぬがせて、ソファに用意してある毛布を掛けた。

常に無造作にまとめられている髪も、今日は乱れている。
顔にかかっている髪をそっとかき上げて、宏貴は静かにデスクに戻った。

宏貴がコンビニに行っている間に、恵理は自分の分の仕事を終えていた。

恵理のデザインは若い年齢対象の企業からも、大手の企業イメージをモチーフにした仕事でも定評がある。どんなデザインが合っているか、恵理は何度も何度も打ち合わせを繰り返し、先方を理解することから始める。そして何度も何度もデザインを考え直し、最もあっているデザインに決める。