想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
いつの間にか眠ってしまった恵理。
結局何も口にしないまま眠ってしまった恵理のためにと宏貴は、こっそり買い物へ出る。

いつもなら成分表を見て恵理のアレルギーのないものを買う。
恵理の好みは知っている。

なのに、何をカゴに入れたらいいかわからない。
携帯電話で”つわり 食べられる 食べ物”と検索をする。

その行為すら矛盾している感覚を覚える。

恵理は産めないと言った。
命をあきらめると決断している。
なのに・・・まだあきらめきれない自分がいる。

もしも、今恵理に産んでほしいと言ったら、彼女を苦しめるだけだとわかっている。

こんな時に邪魔するのはずっと恵理を愛して隣で彼女を見つめ続けて来た自分の愛情だということも、宏貴はわかっていた。
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