想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「ごめん。寝すぎちゃった。」
恵理の声に宏貴が振り向く。
「顔色、回復したな。飯にするか。」
宏貴が立ち上がりコンビニの袋を開ける間に恵理が宏貴のパソコンを操作して、作業の進捗状況を確認した。
「さすがです。」
いつも宏貴の才能には驚かされる恵理。

どんなに努力をしても自分にはかなわないといつも思い知る。
でもそのたびに、嫉妬ではなく、宏貴に追いつきたいという見えない力がわいてきた。

「誰だと思ってんだよ。俺だぞ?」
自慢げに言う宏貴が照れていることにも、長年の付き合いの恵理にはすぐにわかってしまう。
「照れてる。かわい」
「ばか。おちょくんなよ。これ、やらないぞ?新発売のカフェオレ。」
「えーおいしそう!」
「腹減ったな。食べよう。食べてまたがんばろ。」
「うん」
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