想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
生まれたらしてあげたいことがたくさんあった。
今は恵理のお腹にいて、自分には直接何かをしてあげることができないから、生まれたらなんだってしたいと思ってた。この手に抱いたらどんな感覚だっただろうか。

一緒に行きたい場所がたくさんあった。話したいことがたくさんあった。経験してほしいことがたくさんあった。教えたいことがたくさんあった。

でも失ってしまった今、何も叶わない。

母親になる恵理を見たかった。幸せそうに子供を抱く恵理を見たかった。

なのに・・・どうして・・・

恵理が目を覚ます前に自分の気持ちを立て直さないとならない。
宏貴は、眠っている恵理の手を握りながら、悲しみに浸った。
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