想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「何食べたい?」
この二日間、恵理は仕事を全くしていない。
ただ、ベッドに横になったり、ソファに横になり、差しさわりの無いような物語の映画を観たりしていた。体調を考えるとどこかへ出かけることはできなくて、宏貴は恵理が食べられそうなものを作ったり、好物を買ってきたりしてくれた。
家事もすべて宏貴がしてくれている。

何かを口にするたびに、つわりが無くなったことで赤ちゃんが死んでしまったことを実感する恵理は、ほとんど食事できていない。

朦朧とした状態に近い恵理から離れず、介抱してくれている宏貴。

仕事は恵理が寝てからこっそりと片付けていた。

「・・・」
話しかけても恵理はうまく返事が返せない。
ぎこちなく笑ったり、悲しそうな視線を向けて返事ができないことが続いている。
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