想いのままに心のままに ～結婚より仕事の30女が身ごもりました～

「海・・・行きたい・・・」
恵理の声を久しぶりに聞けた気がした。

それだけで少し泣きそうになる。

「行こう。海。」
宏貴はハンドルを切って方向を変えると、海へ向かって車を走らせ始めた。

途中、つらそうな表情の恵理の座席を倒し、自分の上着をお腹にかけた宏貴。
「着いたら起こすから」という宏貴の言葉に、恵理は頷き目を閉じる。

宏貴は時々助手席の恵理の状態を確認しながら車を走らせた。


1時間ほど車を走らせると、海についた。

とっくに海水浴シーズンは過ぎていて、ほとんど人がいない海。