想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
掃除や洗濯はほとんど宏貴がしてくれているが、炊事に関しては恵理が楽しみながらしている。

むしろ、外食やコンビニの食事よりも、自分で作ったほうが好きなものを好きな味付けで食べられると、食欲も自炊したほうがいい。

恵理は手際よく料理をする。
幼いころから祖父母の家で育った恵理は、祖母から自然と料理を教えられていた。

「うまい!」
嬉しそうに食べる宏貴の顔を見ることで、恵理自身、うれしかった。

宏貴の弁当箱の半分もない大きさの恵理の弁当箱。

その中身を食べきることも難しい。
パニック発作が起きると気分が悪くなる恵理は食べることに恐怖を感じるようになった。

「昨日の夜、変な夢見てさー」
なるべく宏貴は恵理と一緒に食事するようにしている。
同じくらい、食事中に表情が曇る恵理に楽しい話題を振って雰囲気を変えようとしてくれていることを恵理は知っていた。
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