想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「入院しましょう。」
磯貝医師の言葉に宏貴は頷くしかない。

病院に救急車で運ばれた恵理は低体温症と診断を受けた。
もう少し発見が遅かったら危険だったと医師に告げられた時に、宏貴は自分ではだめなのだと痛感した。

恵理は心の病気だ。
大丈夫だなんてすぐに治りっこないのに、過信してしまった自分を悔いる。

「もしかしたら奥さんは目が覚めた時に、自分が今回してしまったことを覚えていないかもしれません。一種の錯乱状態であったことも考えられます。目が覚めても必要以上に奥さんに質問をしたり問いただすようなことはしないでください。」
「・・・はい」
「一橋さん」
「はい」
磯貝医師は宏貴の肩に手を置く。
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