想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「どうした?」
「・・・」
恵理は何も言わずに宏貴の手をギュッと握り、離さない。

「恵理?」
宏貴は恵理のベッドに座り、恵理の顔を見る。

表情のないままの恵理が宏貴の方をじっと見つめている。

表情は全く変わらないのに、その瞳から涙が溢れている。
「どうした」
宏貴は思わず恵理の体を抱き寄せる。

瞬きすらしない恵理の体はかすかにふるえていた。

「すぐに戻ってくる。入院に必要なものを持って、俺も病院に泊まれる準備してから来るから。な?すぐに戻るから。」
どうなだめても恵理は宏貴の手を離さない。
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