想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「恵理、今日は病院にお見舞いにくてくれる人がいるんだ。恵理にずっと会ってほしかった人なんだ。」
宏貴の言葉に、恵理が首をかしげる。
「大丈夫。相手も恵理の状態を知ってくれてるから。無理はしないで大丈夫。」
宏貴が恵理を落ち着かせるように言う。

恵理は宏貴の手を握った。
「大丈夫。そばにいる。離れないから。大丈夫だ。」

宏貴が恵理から離れる時、恵理はまるで恐怖に絶望するかのように宏貴にしがみつく。

その意味と、原因が宏貴にはわかっていた。

いつか、ちゃんと向き合わないと前に進めないことなどはじめからわかっていた。

でもなかなかできなかったのは、相手を見つけるまでに思った以上に時間がかかったからだった。
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