想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「ぜひ、お二人にお願いしたくて、納期がギリギリになってもいいからとわがままを言ったのは私なんです。」
取引相手の輸入雑貨店の店長はきれいな女性だった。

きっと常にきれいに化粧をして、かわいいものを持って、髪もおしゃれにセットされているのだろう。
自分の徹夜明けの姿とは同じ生き物と思えないくらい違うだろう。

恵理は一瞬でそう思い、距離を感じてしまった。

「お待たせしてしまって申し訳ありません。期日までには納得いただけるものをご提案できるよう、最善を尽くさせていただきます。よろしくお願いします。」
打ち合わせや会議で、話を進めるのは基本的に恵理だ。
でも、今日は何となく恵理の様子がおかしいと思った宏貴が積極的に話を進めてくれている。

「少し店舗の中を見させていただいてもよろしいでしょうか。」
恵理の提案に店長が快く頷いてくれた。
「では私は店舗を見させていただき、一橋はこちらでウェブサイトの内容について打ち合わせさせていただいてもよろしいですか?」
「もちろんです。」
笑顔まできらきらとしてかわいい。
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