想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「美園はうちの会社の中でも、トップクラスのデザイン画を描きます。時間がかかって自身に負担がかかってしまうのが玉に瑕ですが、その分機械ではなかなか表現できない色彩を表現できるんです。」
宏貴が自慢げに言うのが今日は、素直に聞けない。

「つきました。ここですよ。」
どうやら宏貴は迷子になっていた店長さんを、私たちが勤める会社の2軒となりにあるビルに案内していたらしい。

「助かりました。どうも方向音痴で。この歳になって恥ずかしいですね。」
「何言ってるんですか。一つしか変わらないって言ってたじゃないですか。」
年齢まで知っているなんてと恵理はやきもちをやいている自分の心にストップがかけられなくなる。

「また後日連絡いたします。」
「よろしくお願いします。」
恵理と宏貴の車が見えなくなるまで、美人店長さんは手を振ったり頭を下げていた。

「ずいぶん買ったな。」
後部座席をルームミラー越しに見た宏貴が話しかける。
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