想いのままに心のままに ～結婚より仕事の30女が身ごもりました～

同期の社員たちとの会話はかなり盛り上がった。
同じ時期から入社して切磋琢磨してきているライバルでもある仲間は、同じようなことで悩んでいたり、共感できる部分がかなり大きい。
恵理は男性社員たちとも何も気兼ねなく仕事の話ができる性格で、久しぶりにゆっくりと話ができることを楽しんだ。

「おっ、一橋打ち合わせ終わったって。今から来るらしい。」
恵理の隣の席に座っていた高瀬が恵理に声をかける。
「美園、携帯電源切ってる？一橋が美園に連絡つかないけどそこにいるか？って。」
携帯画面を見て、恵理に声をかける高瀬に恵理はとっさに「今はｏｆｆだから、楽しみたくて。」とうそをついた。

電源を切っているのは宏貴に叱られるからだ。

「そっか。ま、でもここにいるって言ってあるから、用があればもうすぐ来るだろ。」
「・・・」
恵理は少し考えてから、財布を出した。