想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「私そう言えば用事があるんだった。これ、私の分。」
今は宏貴に会いたくない。

あえばきっと叱られる。
でもそれだけじゃない。
素直な気持ちで宏貴に向き合えない。

心のどろどろとした部分が出てきて、かわいくないことを言ってしまうかもしれない。

そんな自分を見て、宏貴は心離れてしまうかもしれない。

恵理は高瀬に会計をお願いすると、荷物をまとめた。
「一橋君には私から連絡するから。」
念のために言っておかないと、高瀬が宏貴に恵理がもうレストランにいないと言ってしまうかもしれない。そんな予防線を張れる自分に、恵理は嘘つきだなとあきれた。
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