想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「ごめんなさ・・・」
涙で言葉に詰まった恵理。
宏貴は「なんで謝るんだよ。謝るようなことしてないだろ」と微笑みながら恵理の涙を拭う。

もう一度首をぶんぶんと横に振る恵理。

「なんだよ。どうした。恵理は悪くないって。」

どこまでも優しい宏貴に恵理はさらに涙を流す。

「こんな弱ってる恵理、貴重だな。」
困ったように笑いながら宏貴はタクシーが止まるまで、ずっと恵理の肩を抱き、流れる涙を拭い続けてくれた。

仕事をしている時はほかの誰にも負けないと、がむしゃらに突っ走っている恵理。
ほかの誰にも、自分の弱い部分は見せない。
多少、体調が悪い時でもうまく悟られないように隠せるくらいの強さを持っている。
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