想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
マンションについてすぐ、恵理をソファに座らせて、宏貴は入浴の準備をしてくれた。

恵理は疲れ切った体をソファに横たえて、まだ止まらない涙をふく気力すらもてない。

宏貴は何も言わずに、準備ができると恵理の体をソファから抱き上げて浴室に運んだ。

その間もぽとぽとと涙が零れ落ちる恵理。


時々、恵理は自分の許容量を大幅に超えてしまった感情をこうして涙にして流す。
付き合って6年。その間に数回しか見たことの無い状態でも。宏貴はこんな時恵理をどう支えたらいいかわかっている。

宏貴からは言葉はあまりかけない。
ただ、湯船にゆっくりと好きな入浴剤を入れて入ったり、どこかへでかけたり、おいしいものを食べたり、恵理のぱんぱんになった心が和らぐようにする。
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