想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「ありがとう」
恵理はそう言って、宏貴に抱き着いた。

「お前、俺の理性ぶっこわす気か?」
笑いながら恵理を抱き留めた宏貴はそれ以上結婚の話をしなくなった。



恵理の抱えているものの大きさに、宏貴は待つと決めた。

自分の感情だけで、自分の独占欲だけで突き進もうとするのをやめた。

恵理がプロポーズの返事をくれないことに焦っていた自分もいた。

でも、恵理は恵理なりに考えて前に不器用に進もうとしてくれていることを知った宏貴の心は、穏やかだった。

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