想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
「ありがとう。よくなった。」
「どういたしまして。ってか、恵理の手冷たくないか?」
「確かに少し寒いかも。」
宏貴に返事をしながらも、すでにマウスを手にパソコンの画面に集中している恵理。

仕事が忙しくなると自分のことはそっちのけで集中してしまうのが恵理の悪いところだ。
宏貴はソファから毛布を取り、作業している恵理の邪魔をしないよう、膝に毛布を掛ける。
「ありがとう。」
ちらりと宏貴を見た恵理の顔色の悪さに、宏貴は心配になる。

「俺、ひと段落したから飯買ってくる。」
「うん。」
恵理の方が今はデザインの仕事が詰まっている。
宏貴の仕事はひとつ今夜納期を迎えるが、恵理は今日納期の仕事を3つ抱えていた。

それぞれ忙しいタイミングは微妙に違う。

こういう切羽詰まった時は恵理は頬がこけるほど痩せてしまう。
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